Contents
<カテゴリー日本近代純文学>
【今季総評】
<殿堂作品>
「推しの子2期」「物語シリーズオフ&モンスターシーズン」「逃げ上手の若君」
<ベスト作品>
「ラーメンと赤猫」「負けヒロインが多すぎる!」「杖と剣のウィストリア」
「烏は主を選べない2期」
<ワースト作品>
「菜なれ花なれ」「ATRI」「グレンダイザーU」「僕の妻は感情がない」
<カテゴリーお米>
「しかのこのこのこしたんたん」「天穂のサクナヒメ」
<次点>
「この世界は不完全すぎる」「なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?」
<異世界ご一行>
「異世界失格」「異世界スーサイド・スクワッド」
<おっさん向け異世界作品>
「俺は全てを『パリイ』する~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~」
「新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。」
「ハズレ枠の『状態異常スキル』で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」
<配信者もの>
「Vtuberなんだが配信きり忘れてたら伝説になってた」
「真夜中ぱんチ」
<カテゴリーひとこと>
「疑似ハーレム」「2.5次元の誘惑」「SHY東京奪還編」「戦国妖狐 千魔混沌編」
「魔道具師ダリヤはうつむかない」「ダンジョンの中のひと」
「かつて魔法少女と悪は敵対していた。」「エルフさんは痩せられない。」
「女神のカフェテラス第2期」「君に届け3RD SEASON」
「キン肉マン完璧超人編」「多数欠」「カミエラビ」
「NieR:Automata Ver1.1a」「NINJA KAMUI」「ばいばい、アース」
「0歳児スタートダッシュ物語」
「未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書」
<文学とアニメのアナロジー>
~石岡良治 最強伝説+私見~
※以下は2024/10/3配信
「石岡良治の最強伝説 2024夏アニメまとめ」を元に私見を加筆したものです。
<カテゴリー日本近代純文学>

男性向けラノベ大作ゾーンが、日本近代文学の磁場にあることを予感させる作品群が多数ラインナップされた2024年の夏アニメ。
翻訳系純文学、村上春樹や新海誠が一周してキモイ仕上がり、「発酵ジャンル」になりつつあるのかもしれない?
以下事例:
「負けヒロインが多すぎる!」

地域おこしブーム一周して2周目の世界を変えた地域もの。
小鞠知花の造詣の参照は「心が叫びたがってるんだ」の、
「汚い【成瀬順】」(負けヒロインw)。
留意点は、主題は本当に負けヒロイン仕上げなのか(妹の果樹除く)?
むしろ「勝ちカップル」の晒上げ演出なのでは疑惑。
「小市民シリーズ」

ED作画は神。メイン二人組は名探偵風味の装いだがむしろラスボスを予期させる。米澤穂信(原作者)の世界観に忠実。
2020年代も半ばにセカイ系を探偵もので表現しつつ、セカイ系(超越)への断念を示すナルシシズムは20年遅れながら原作に忠実で良いです
「義妹生活」

演出、脚本、キャラデザは丁寧。文芸的エロ漫画をむしろ描いた方が良いのでは、、
「恋は双子で割り切れない」

カップルは最終回で殺されるべきでは?(School Days的な意味で)
12回かけて出すべき結論ではない(選べるまで待ってほしい=何も決めていない)。
5話くらいまで頑張ったが、まあまあ崩れる作画、絵コンテと演出が脚本力に追いついてないのがツラい。。。劣化True tears、、、、、
あと角川系の脳内完結の人工的な会話をひたすら聞かされるのはきつい。
サブカルネタが半分以上わからない、、
参照点は「セックスなんて興味ない」第4巻、きづきあきら+
※双生児と個人の識別、性欲と繁殖の根源に迫る意欲作
「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」

声優の上坂すみれ(アーリャ、ラム担当)にセクシー演技をどこまでさせられるか?
最後の演説が異世界転生もののダメな側面が、、魔法科高校の劣等生の再来か。
あからさまに周防さんの演説に説得力があるが、自分語りで勝ってる感を出していく錯誤観が危ない。
初回のエロ中高生向け演出以外は演出も脚本もメインヒロインの添え物感が凄い、、、ある意味萌えアニメに振り切っている構成で清々しい。
ちなみに我が家の娘は1話途中で飽きてました
「ATRI」(後述)

「先輩はおとこのこ」

志村貴子(放浪息子)系統であるが、私小説系では一番真面目な仕上がり
その他参照作品「青春ブタ野郎」、「インサイド・ヘッド2」
文献参照点
橋本治「失われた近代を求めて」、松浦寿輝「明治の表象空間」、森鷗外「舞姫」
【今季総評】
<殿堂作品>
「推しの子2期」 原作の2.5次元のクオリティを1.5次元ほど盛り上げる仕上がり。
筆者追記)漫画、アニメを総括したくだりはこちら

「物語シリーズオフ&モンスターシーズン」

まどか☆マギカの上映延期に伴いクオリティ熱量を集中投下か。
配信限定で見られず、
「逃げ上手の若君」

パルクールアニメとしての完成点
<ベスト作品>
「ラーメンと赤猫」(作画。保留なし)

「負けヒロインが多すぎる!」

(既述。日本近代文学モード)
「杖と剣のウィストリア」

(演出。脚本除く)
「烏は主を選べない2期」

(平安異世界のえぐい貴族政治と庶民生活の丁寧な結節。演出、脚本、美術設定すべてにおいて魅力的な世界観。やや弱いキャラデザがネック)
<ワースト作品>
「菜なれ花なれ」

事前期待との落差、日常ものとドラマ総取りできず(チア、高崎地方振興、動画、、)。後半の迷走を、11話の唐突新キャラの応援で斜めにまとめに入りつつ、謎のアイドル路線でフェーズアウトさせるウルトラCに落胆、、
「ATRI」

ノベルゲームの日本近代文学モード。主人公のオラつきも周囲の女性も展開も紋切り型。脚本も演出もグダグダだった初回に比べると、最終回で謎に人気者化した主人公と退場した姉御、幼馴染に違和感。主人公とアトリの無限空間への逃避オチは成人にはちょっと、、
「グレンダイザーU」

多分比較対象は勇気爆発バーンブレイバーン。
頭の先からお尻まで徹頭徹尾、福田己津央モードな時代錯誤アニメ 絵コンテ、演出、脚本、キャラデザ、メカアクションと、これでもかと1970年代子供向けテイストを大人に繰り出す現代的意義は全く感じられない、、、 opのGLAYが全体構成の破綻を象徴してる。
「僕の妻は感情がない」

劣化ちょびっツ。マモルの存在は良かった。
葛藤が薄すぎる、、テクノロジーの倫理的問題を、倫理観ではなくテクノロジーで解決してしまうのはわかりやすく安易。
※ちょびっツの達成点 :
感情と愛の普遍性(感情や愛が必ずしも生物学的な人間に限定されない可能性)
テクノロジーと人間性の融合(人間とテクノロジーの境界線の曖昧化)
社会規範への挑戦(人間とコンピューターの恋愛、性愛の描写による、
社会や文化的規範の恣意性の示唆)
ちょびっツの未達成点:
倫理的問題の深堀(同意能力や自由意志の問題、人工知能の感情の真正性等)
社会的影響の考察(人間と非人間の関係が一般化した社会の影響。
人口動態や人間関係の変化など)
多様性の欠如(異性愛の関係が焦点であり、多様な性的指向や性自認をもつ
キャラクターを含めた関係描写の不足)
※個人的に、職場の30代超えの魔法使いに、本作の主人公のコミュ力がそっくりで、その意味でもツライものがありました、、、
<カテゴリーお米>
「しかのこのこのこしたんたん」 ※準ワースト

馬車芽めめの田植えオマージュが良い。空疎な田植えモードの系譜。
奈良の神鹿フェイクを日野市で崇拝。
参照作品は「戦国コレクション」(秀吉)、
「神亡き世界のカミサマ活動」(ロイ/コンバイン)
「天穂のサクナヒメ」

真面目に作った偽史神話。わんぱく王子の大蛇退治も参照。
<次点>
「この世界は不完全すぎる」

第一話の異世界ゲーム風味の語りでやや虚脱感。最終回のまとめが勿体ない
※筆者未見「モブから始まる探索英雄譚」
ロリショタジャンルにも関わらず真面目に群像劇やろうとしていた。
有料レンタル枠、、
「なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?」

好感度ある中二病。2010年代ゲーム風の懐かしい異世界
角川系列の作品群の典型、、
<異世界ご一行>
「異世界失格」 ひとまず太宰

「異世界スーサイド・スクワッド」

アクション作劇は格好いい。ハーレー・クインちゃんを「可愛い」に寄せすぎか。
セカンドシーズンないと台無し
※筆者未見「異世界ゆるり紀行~子育てしながら冒険者します~」
被虐待自動保護もの
<おっさん向け異世界作品>
※筆者未見「俺は全てを『パリイ』する~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~」

サブタイは面白い。異世界もの怪獣8号の香り
※筆者未見
「新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。」
エロより承認欲求
※筆者未見
「ハズレ枠の『状態異常スキル』で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで」
復讐の途中
※筆者未見「魔王軍最強の魔術師は人間だった」人間の方がゲスな世界
<配信者もの>全体的に模索中のジャンル
「Vtuberなんだが配信きり忘れてたら伝説になってた」

ところどころ滑ったギャグをもう少し頑張ればよかった
「真夜中ぱんチ」

主人公に執着する理由付けが弱い。サブキャラ立ちが良い。深夜アニメ向け
※参照「Vtuber学」序文を含め地味に良い産業批評論。文化批評界隈から非難されている状況あり

<カテゴリーひとこと>

「疑似ハーレム」
早見沙織起用のボイスドラマ。秋アニメ「結婚するって、本当ですか?」を繋げてみよう
※筆者未見「2.5次元の誘惑」
コスプレを2.5次元と呼ぶ用法の今後の行方、、秋アニメ「アオのハコ」同様か
※筆者未見「SHY東京奪還編」安い敵キャラ設定
「戦国妖狐 千魔混沌編」

Drスランプ+犬夜叉。中ダレがない
※筆者未見「魔道具師ダリヤはうつむかない」上品な女性向けコンテンツ
※筆者未見「ダンジョンの中のひと」
薄いダンジョン飯。シスターフッド系性愛表現は要不要の重要度低い
※筆者未見「かつて魔法少女と悪は敵対していた。」
ガールズバーで搾取される魔法少女を救う系の話は数年単位で需要が切り替わってしまう、、
※筆者未見「エルフさんは痩せられない。」
肉ぽよぽよ系エロ担当。最終回が中盤に。「ドカ食い望月さん」で進化するか?
※筆者未見「女神のカフェテラス第2期」蛇足観が面白い。
※筆者未見「君に届け3RD SEASON」同上。上映タイミング失敗。
※筆者未見「キン肉マン完璧超人編」
内容丁寧だがもったいない。空気作品。双葉人民のような二次創作勢を締め出してしまったのも痛いか。
漫画家が積極的に配信しすぎる弊害か
※筆者未見「多数欠」ちゃんと作ったデスゲーム
「カミエラビ」

フル3DCGで丁寧にデスゲームやろうとしている感。
キャラ設定がそれぞれ今一つキモさにもエモさにも乗れず
「NieR:Automata Ver1.1a」

空気作品。2020年代日本発キャラクタービデオゲームトップなのに、、
作画も演出もいいが、マルチエンディングと無限ループの下りで緊張感が台無し。
※日本と日本以外のビデオゲームカルチャーは全く違うことを認識してもいい
「NINJA KAMUI」

クオリティは高い。アンダーニンジャ、異世界スーサイドスクワッド、ザファブル、デデデデを足して4で割る感じ。
中期的にコスプレ市場で、日本のフェミニストが騒がない状況になれば(他国なら)潜在市場がありそう
「ばいばい、アース」

冲方丁のマチズモに親和性があるかどうか。男性向け発酵食品系
※筆者未見「0歳児スタートダッシュ物語」完全な低予算紙芝居。
※筆者未見「未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書」完全な低予算紙芝居。
→gdgdフェアリーズのような作品のマネタイズの可能性を考えたいところ
<文学とアニメのアナロジー>
文学帝国主義に対しての批判を前提として、「拡張文学」としてのアニメの見立てをシリアスに考える必要があるかもしれない。
日本文化における「基礎リテラシー」としての文学を考えると、
アニメや映画を「映像テクスト」とみなす文学研究者のワードは、ナレーションへの着目、ボイスドラマとして成立する次元。
キャラクター論、コンテンツ論ではなくテクスト論のポテンシャルの再構築が必要か
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